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spec5zigen Creator's Lab.

デザイナーの漆原です。

iPhone5、とうとう発売しましたね!
早速手に入れたぜーって方も多いのではないでしょうか。
長らく世間から渇望されていた事もあって、予約も4Sの二倍を上回る数字だったとか。

夜更かししてまで発表をまじまじと眺めていた私ですが、残念ながら私は現在iPhone4S。まだ一年も使っていないこともあって今回は見送ろうかと思ってます。
ただ、0.001mmのレベルまでデザインにこだわって開発したんだぜ!どうだすごいだろう?っていう破壊的なムービーに、私の心は酷く疲弊しているので、隙あらば変えてしまいそうな勢いです。

そんな世界を魅了し続けるアップルですが、ジョナサン・アイブ率いるプロダクトデザインが素晴らしいのは当然のこと、文字やフォントの使い方一つにしてもこだわりを見つけることができます。
普段フォントを気にしない人でも、アップルの魅力が文字やフォントの美しさにあると感じてる人も少なくないのでは。

というわけで今回はアップルが使用しているフォントについてご紹介したいと思います。


ブランドアイデンティティ:Myriad

まず、今やアップルの顔とも言うべきフォントMyriad
全ての広告素材やプロモーション、ウェブサイトやパッケージ等の主にマーケティング周りで使用されています。
サイズが小さすぎる場合はHelvetica Neueに代替されています。
ちなみに日本語にはAXISフォントを採用していますよー。

Myriadは1992年にアドビからリリースされました。
モダンなサンセリフ書体のFrutigerに似ており、日本人にとっても身近な書体です。
アドビのCS製品に付属しているフォントなので、デザイナーさんならよく目にするフォントではないでしょうか。

2002年にアップルが採用してからすっかりイメージが定着したMyriadですが、アドビやリンクトイン、ロールスロイスをはじめとする企業もMyriadをコーポレートフォントに採用していることから、先進的な印象を与えてくれるフォントとも言えます。

また余談ですが、小塚ゴシックの従属欧文にはMyriadが採用されています。(和文に合うように多少変形が加えられています)

Myriad


キーボード:VAG Rounded

キーボードに刻印されているフォントにはVAG Roundedが使われています。
このフォントは1979年頃、フォルクスワーゲンのCIのために作られました。
アップルは1999年に初代iBookで採用、2007年には全てのMacのキーボードで利用されています。

丸みを帯びたエッジを持つ親しみやすいフォントで、私もよく愛用しています。
美しい丸ゴシックフォントって以外と少ないんですよね。
微妙に太さが違ったり、バランスが悪かったりと。

ちなみに私、「バグ・ラウンディッド」や「バグ!」などと惜しげも無く呼んでいましたが、ドイツ生まれなので「ファウ・アー・ゲー・ラウンディッド」と読むらしいです。
なるほど!これは恥ずかしい!笑 でもすぐ忘れそうだ!

VAG Rounded


UI(OS X):Lucida Grande

OS Xの各UIで使用されているシステムフォントはLucida Grande
多くのウェブサイトの本文でも使用されている、可読性の非常に高いフォントです。

Lucidaファミリーはディスプレイなどの低解像度環境での視認性を考慮して作られた書体です。
それもあってか拡大してよく見てみると、決して美しいフォントとは言えません。
その分、文章のような長く細かい文字列では他のフォントと比べ断トツに読みやすいフォントとして知られています。

1985年に登場したLucidaから様々な経緯を経て改良されており、豊富なファミリー展開をしてきました。
レーザープリンタやファックスなど印刷技術の進化と供に歩んでいる姿が垣間みえ、掘ってみればみるほど面白いフォントでもあります。

Lucida Grande


iOSデバイス:Helvetica Neue

iPhoneやiPad等のiOSデバイスではHelveticaがUIに使われています。
iOS 4からはRatinaディスプレイで解像度が高くなったことにより、よりエッジの効いたHelvetica Neueが採用されました。

世界で最も有名な書体の一つ。デザイナーじゃなくともお馴染みのフォントですね。
愛されすぎて映画にもなっちゃうほど。
しかし、世界中で明らかに使用されすぎているため、多くのデザイナーはHelveticaに置き換わる代替書体を探している点も。
現に私もHelveticaの順応性・美しさ・安心感から頻繁に使いがちですが、そこで本来使われるべき他のサンセリフがあったのではないかと同時に反省する事もしばしば。

フォントは使われる場所に最も効果的なものを選択する事が全てなんですよね。
当たり前の事、分かっているはずの事なのに便利だからとつい使ってしまっている方も多いはず。
そんな方はHelveticaの代わりとなる書体をTypecacheのチームがまとめていますので、下記リンクを参考にしてみてください。
http://typecache.com/font-clusters/03/

ちなみにiOSでUI書体としての採用をきっかけに、Lion以降のOS XでもHelveticaが採用され始めている事態が発生しています。
Helveticaは文章組みに特化して作られていないジオメトリック系のフォント。
ネットではこの事について様々な意見が飛び交っており、これからリリースの度に物議を醸しそうな気配を感じます。

Helvetica Neue


iOS 6, OS X Mountain Lion:Avenir

そしてアップルで最近、Avenirという書体が新しく採用されました。
デファクトスタンダードとなっているFrutigerやUniversなど多くの書体を作り出している、Adrian Frutiger氏によるモダンな書体です。
Avenirは「iOS 6」の新しい自製地図アプリや「Siri」で採用されており、「OS X Mountain Lion」にもウェイト別に搭載されている事が分かったそうです。

スターバックスのブランド書体に使われていたり、JALでも一時期使われていたAvenir。
地図やSiriで採用されたことから、短い文字列を一瞬で判読するような用途で使われるのでしょうか?

OS Xの方では搭載さえされているものの、アプリケーションではまだ使われていないとの事ですので、将来的にiOSとMac OS Xのフォント統一もありえるかもしれません。(端末の違いによる棲み分けかと思っていましたが…)
なにはともあれ、Avenirが今後アップルのどの役割を担っていくのか非常に楽しみです。

Avenir


フォント以外のこだわり

最後にフォントとはまた別の話。
Appleデベロッパーに配布されたiOS 6のベータ版では、UIにこんな仕掛けが施されていました。

これ、本体を傾きを利用してグラデーションを回転させることで、金属のリアルなボタンを再現しているんです。
iCloudのログイン画面等も同じような処理がされていますが、iPhoneのような端末のセンサーとUIを結びつける着想が素晴らしい。
増してやOSレベルで。いやOSだからこそなのか!

いやー、いいですね。すごくいい。
日常に溶け込むデザインさえも徹底的にこだわる。どうみても変態です。

こういう細かいギミックはインタラクティブデザインだからこそ、より光るものだと思います。
今やスマートフォンにしても携帯ゲーム機にしても、様々な入力方法が搭載されている時代ですし。
日々進化しているデバイスの複雑化。
進化しすぎてついていけないYO!ってユーザーも沢山いるはず。
そんなユーザーの感覚的なトコに響くような体験を、デザインとアイデアでいかに生み出せるかがこれからの課題だと思います。

「こんなもん誰も気づかねーよ!」と言われたらそれまでですが、自分のデザインにここまでのこだわりを見出せる気持ちを常に忘れないでいきたいですねー。